アナログ回路(3)-並列回路

前回は、LEDを使用して、簡易的な回路を作成しました。最初は、電源に直接LEDを接続した回路でしたが、途中からは、電源とLEDの間に直列抵抗を追加した回路に変更しました。前回の内容は下記のリンクを参照してください。

アナログ回路(2)-LED

前回は直列接続の回路であったので、今回は並列に抵抗やLEDを使用した回路を作成してみようと思います。

使用する環境は下記のとおりです。

  • Windows10
  • LTspice XVII

LTspiceを使用して、回路図を作成して、回路を作成したらシミュレーションを行いたいと思います。

まずは下記のような回路図を作成してみました。同じ抵抗値の抵抗を4つ(R2~R5)並列に接続してある回路です。R1のみ抵抗を70Ωと指示してあります。

この回路で電流値を 20mA を流したい場合、R2~R5の抵抗値はいくつにすればよいかオームの法則を使用して考えます。4つの抵抗に流れる電流は、抵抗値が等しいため、電流値も同じになります。ですから、20mA ÷ 4 = 5mA になります。R1に流れる電流は、0.02A × 70 = 1.4V になります。R2~R5は並列回路のであるので電圧の値は同じです。よって、5V – 1.4V = 3.6V になります。あとは、オームの法則より、3.6V ÷ 0.005A = 720Ω になります。R2~R5の各々に 720Ω を設定します。

シミュレーションを実行すると下記のような結果を得ることができました。

R2~R5の各々に流れる電流値は、5mA となっており、合計で 20mA になっています。R1に流れる電流値も、20mA になっています。今回、R2~R5の抵抗値を変えて 20mA を流れるような回路を作成しましたが、もちろん、R2~R5の抵抗値を先に決めてしまい、R1の抵抗値を変更することで、20mA 流れる回路を作成することも可能だと思います。

次に、LEDを並列に並べた時と比較するために、R2~R5の各々の抵抗値を180Ωに設定してシミュレーションしてみます。

R2~R5は並列回路なので、この部分の抵抗値は 45Ω になります。全体を流れる電流は、5V ÷ (70Ω + 45Ω) = 0.0434783 になります。R2~R5は同じ抵抗値なので、各々に流れる電流は、5V ÷ (70Ω + 45Ω) ÷ 4 = 0.0108696 になります。※計算値は四捨五入した値です。

R2~R5の抵抗値をLEDに置き換えて考えてみます。下記のような回路図を作成してみました。LEDはNSCW100を使用しています。R1は 70Ω と設定しました。

試しに、シミュレーションを実行すると下記のような結果を得ることができました。

先ほどの抵抗値180Ωを4つ並列に並べた時とは違う結果になります。これは、LEDのVFとIFの関係は1次関数(比例)ではないからです。データシートを見ると曲線カーブになっています。ですから、抵抗と同じようには考えられません。

また、抵抗とLEDでは役割が違います。そのため、抵抗は抵抗値を変えたい場合、他のものに変えればよいですが、LEDの場合、抵抗値を変えたいからLEDを変えるということはしないと思います。ですから、R1の抵抗を変えて、各LEDに 20mA を流したいと思います。

LEDが4つ並列に並んでいるので、この部分の合計電流は、80mA になります。オームの法則より、R1の抵抗は、(5V – 3.6V) / 0.08 = 17.5Ω になります。それでは、R1に 17.5Ω を設定して、シミュレーションを行いたいと思います。下記のシミュレーション結果を得ることができました。

各LEDには、0.0195018mAの電流が流れており、概ね20mAの電流が流れています。

アナログ回路(2)-LED

前回は、抵抗を使用して、簡易的な回路を作成しました。シミュレーションをした結果、オームの法則に沿った結果を得ることができました。前回の内容は下記のリンクを参照してください。

アナログ回路(1)-抵抗

今回はLEDを使用した回路を作成してみようと思います。

使用する環境は下記のとおりです。

  • Windows10
  • LTspice XVII

LTspiceを使用して、回路図を作成して、回路を作成したらシミュレーションを行いたいと思います。

まずは下記のような回路図を作成してみました。LED(NSCW100)に電流を流す回路です。

OP解析を行うと下記のような結果を得ることができました。

電流が129mA流れています。NSCW100のデータシート見てみると、絶対定格は下記のようになっていました。

  • IF(順方向電流):25mA

絶対定格をかなり超えているので、壊れるまたは寿命が短くなると思われます。

それでは、電気的・光学的特性をみてみたいと思います。電気的特性は下記のようになっております。

  • VF(順方向電圧)※条件20mA:標準3.6V、最大4.0V

それでは、電源電圧を 3.64V にしてみます。OP解析を行うと下記のような結果を得ることができました。

電流値は、0.0197A になっており概ね 20mA となっています。今回電源電圧を変更してシミュレーションを行いましたが、電源電圧を変更するのはあまり現実的ではありません。さまざまな半導体素子をしようすれば、それだけさまざまな電圧が必要となります。

そこで、直列抵抗を使用します。抵抗を使用して、LEDの電流を調節します。下記のような回路図を作成します。

LEDのVFとIFの関係は特性としてデータシートに曲線グラフが記載されています。(調光用途がないもに関しては、グラフまではのっていないかもしれません。)ですから、IFの値を決めれば、VFの値もわかります。今回、電気的・光学的特性より、20mA の時、3.6V となっています。では、R1の抵抗値をいくつにすればよいか考えたいと思います。直列回路であるので、R1に流れる電流は20mA になります。電圧は、5V – 3.6V より、1.4V になります。オームの法則より、1.4V ÷ 0.02 は、70Ω となります。

R1を 70Ω にすることで、LEDに電流 20mA が流れます。OP解析を行うと下記のような結果を得ることができました。

電流値は、0.0195A になっています。概ね 20mA となっています。

アナログ回路(1)-抵抗

今回は、プログラミングの内容ではないです。内容はアナログ回路に関してです。組込みのファームウェアを作成しているとどうしてもアナログ回路の知識が必要となってきます。なんとか感覚だけで、ファームウェアを作成してきましたが、そろそろアナログ回路に関しても知識を身につけていきたいなと思い、取り組みことにしました。

今回は、抵抗を使用してアナログ回路を組んでみたいと思います。

使用する環境は下記のとおりです。

  • Windows10
  • LTspice XVII

LTspiceを使用して、回路図を作成して、シミュレーションしながらアナログ回路の知識を身につけていきたいと思います。

まずは下記のような回路図を作成してみました。抵抗に電流を流す回路です。

GNDは、メニューバーの[Edit]→[Place GND]で追加できます。抵抗は、メニューバーの[Edit]→[Resistor]で追加できます。電源は、メニューバーの[Edit]→[Component]を選択すると、下記のような画面が表示されるので、voltageを選択して、「OK」ボタンを押すと追加できます。

抵抗値や電源電圧は、表示されているコンポーネント上で右クリックしてダイアログが表示させて設定します。

シミュレーション結果は下記の通りです。

R1(抵抗)に電圧5V、電流値が5mAであることがわかります。R1の抵抗は、1kΩなので、オームの法則も成立していることがわかります。オームの法則は下記のとおりです。

V(電圧) = I(電流) × R(抵抗)

計算結果は下記の通りです。

5V = 1000Ω × 0.005A

シミュレーションは、メニューバーの[Simulate]→[Run]を選択すると実行できます。初回は、「Edit Simulate Command」ダイアログが表されます。

「Transient」タブの「Stop time」に値を記入しないとシミュレーションは実行できません。「Stop time」に値を入力すると、下記のようにコマンドが表示されています。

おそらくシミュレーションはコマンドを形成して実行するのではと思います。このダイアログを使用することで、コマンド作れるようです。試しに、コマンド側の数値を変えると、「Stop time」の値も変更されました。「OK」ボタンを押すとシミュレーションが実行されます。

メニューバーの[Simulate]→[Edit Simulate Command]を選択して、「Edit Simulate Command」ダイアログが表させます。「Dc op pnt」タブを選択して、下記のように「.op」と入力して、「OK」ボタンを押します。

すると、下記のようにOP解析した結果が表示されます。

これらの解析ですが、同時にはできなかったです。同時に行う方法もあるのかもしれませんが、とりあえず解析できたのでよかったです。